エイサー

エイサーの歴史

2016.06.10

2020.07.07

沖縄観光 沖縄のまつり 戦前のエイサー

戦前の沖縄でのエイサーは各集落で青年団を中心に念仏踊りを主体とし、現在よりはるかに素朴な衣装と踊りであった

古い原型に近い沖縄エイサーは、念仏踊りから始まったのが有力な説の一つだが、沖縄のエイサーが変化(進化?)を早めたのは戦後のことである。どちらかというと地味な衣装と歌で構成されていた戦前のエイサーは、きらびやかな衣装と勇壮な音楽でダイナミックな踊りのエイサーとなっていった。年々沖縄でのエイサー熱は高まり続け、各離島を含め、小さな集落などでも青年団が組織され、エイサーを復活させ、その数は増えつづけている。
戦前のエイサーの服装は芭蕉布の着物、わら帯、わら襟、わら鉢巻、裸足であった。エイサーシンカー(踊り手)はそれぞれクバ笠やタオルで頬かむりをし、顔を隠していた。それは、エイサーシンカーは盆に現れる餓鬼の変形で、エイサーシンカーはこの世の者ではない約束事の上での存在であり、これは八重山の「アンガマ」や奄美の「餅もらい」などにも共通している。彼らにふるまわれる酒や餅はシンヌクの変化したものである。

沖縄観光 沖縄のまつり 戦後のエイサー

戦後の沖縄エイサーは、戦前の念仏踊りを主とした地味で素朴なエイサーから、華やかでダイナミックなエイサーへと鮮やかに変化した

戦前の念仏踊り主体の沖縄エイサーが、ダイナミックにして華麗な現在の沖縄エイサーに変わった最も大きなポイントは、旧コザ市で開かれたエイサーコンクールが引き金となった。これまで各集落で盆供養のために素朴な踊りとして完結していた沖縄エイサーが、コザ市の広大なグランドに各地から参加し競うようになった。
これまでと異なり、大観衆の前の大舞台で演ずることになり、加えてコンクール故、順位が決められるようになった。
必然的に見栄えのする衣装へ、そして大衆受けのする民謡などを取り入れ、振り付けもダイナミックなエイサーへと変遷を遂げていった。

沖縄観光 エイサー その歴史的背景

沖縄の歴史上の、沖縄エイサーの起源については諸説があるが、確証を得るに至っていない。それら沖縄の古い歴史書や古謡、言い伝えなどの中でも最も信憑性の高いのは、12世紀から17世紀頃までの古謡を収録した「おもろそうし」の中に記されたものである。沖縄をはじめ奄美諸島の島々、村々に歌い続けられていた古謡を、当時の琉球王府が採譜し本にまとめたのが沖縄最古の記録とされる「おもろそうし」である。
「おもろそうし」の14巻に「いろいろのえさおもろ」と記されている「えさ」が沖縄エイサーの語源ではないかとの説が現在では主流となっている。沖縄のエイサーは在来のエサオモロという集団舞踊に念仏踊りの形式が加わって形作られたものと言われている。はやし言葉の「エイサー」呼称で、一般に「エイサー」と呼ばれている。古くは沖縄本島や周辺島々の盆踊りで旧歴7月15日のウークイ(精霊送り)を済ませた頃(午前0時~2時)それぞれの村落の神アシャギの庭に集まり、円陣舞踊(エイサー)を奉納し、そのあと各戸を巡回した。

沖縄における現在のエイサー

「エイサーエイサーヒヤヌがエイサー、スリサーサー、スリッスリッ」と声も枯れよと(実際に3日目には声が出なくなる)太鼓のリズムと共に、沖縄の真夏の夜風に乗って遠く近く波打つように聞こえてくるエイサーの三線と歌声を聞くと、沖縄の人々は表現しがたい高揚した世界へと浮遊していく。沖縄の夏だ!!、沖縄のリズムだ!!、とアイデンティティを揺さぶってくれる。
よく言われるように「個人の確立は相対的に連帯を崩壊させる」ということは真理だと思う。沖縄で最もエイサーの盛んな中部を始め、北部は沖縄でも田舎に属する。沖縄のエイサーは、青年団が主体的に催す大切な祭り行事である。しかし、いかに沖縄にとって伝統的な、しかも先祖に対する宗教的色彩を持った行事としても、青年団という組織と強い連帯感がなくては不可能な行事である。個人の確立以外に、都会化という社会現象が個人の精神構造に与える最も大きなインパクトの一つは、個人としての自由と引き換えに連帯感の絆が失われてしまうことである。那覇の中心部にもうエイサーと呼べる祭り(踊り)はない。エイサーを主催できる程の強い連帯感で結ばれた青年団というものが存在し得ないから…。
エイサーの盛んな中北部では、個人としての主張が強くなりがちな青年団を、強い連帯の元にまとめる役割をしているのが他ならぬエイサーである。エイサーの時期になると散り散りであった青年が集まり、そのクライマックスへ向けて一つの強固な連帯となって熱く熱く燃え上がっていく。そこで彼らは新たに仲間意識と共に、連帯として燃やす若い情熱の素晴らしさを強く確認することができる。そして、沖縄のエイサーには、彼らをそこに誘い込むに充分強烈な魅力があるからだろう。

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