伝統・歴史・文化

碧い海に囲まれた島に伝わる、女たちだけの舞

2017.09.08

2024.01.31

平安座(へんざ)島 ウスデーク

2017年9月6日㈬にうるま市の平安座島で「ウスデーク」が行われました。

平安座島は与勝半島から伸びる「海中道路」を渡ったところの島で、そのほとんどを石油会社のタンクに占められており、島民は島の片隅の平安座地区に集まって暮らしています。

さて、ウスデークっってなんぞや?
って方もいるかとは思いますので、まずは簡単に紹介を。

ウスデークとは(地域によって「ウシデーク」と呼ぶ所もあります)漢字では臼太鼓と書き、沖縄本島各地や周辺の離島でも行われている、女性だけで踊る舞踊です。輪になって踊る演目が多いので、円陣舞踊と表現されることもありますが、向かい合って踊ったり一列に並んだりと、バリエーション豊かな踊りです。

ウスデークは地域単位で受け継がれ、五穀豊穣・健康祈願等を目的として踊られていることが多いようですが、元々は神遊歌として神様や王様を讃えて踊られていたとも言われています。神事に起源があるとか、巫女の舞が原型だとか、諸説ありますがハッキリしたことはわかっていません。平安座島のウスデークは約300年の歴史があり、島から出稼ぎに行っていた男たちが帰って来た時に、女性たちが喜びの踊りを踊った、とも伝えられています。

さて、当日の夕方にスタートしたウスデークですが、開始すこし前に「何時から始まるんですか?」と聞いたところ、「4時か5時か、涼しくなったらね」と。なんだろう、この心地いいゆったり感。

ウスデークが始まると、集落の中を歩きながら家々の庭で歌い踊って廻ります。

動画の中で、男性が踊りに混じって踊っている女性の首にタオルを掛けるシーンがありますが、これは元々男性が愛しい女性の首に手拭い(ティサージ)をかけて想いを伝える、という意味がありました。今では「お疲れさま、頑張ってね」という労いの意味に変わっているとのこと。ちなみにタオルがカラフルなのは、白い手拭いは死者の顔にかけるものなので、縁起が悪いとされているからです。

また、他の地域で踊られているウスデークは9節~13節で踊られていますが、平安座島では30~40節もあるということで、この日も夕方16時半頃から10時頃まで、小さな休憩は挟むものの、ほとんど踊りっぱなし! 歌い手も踊り手も高齢の方が多いにも関わらず、踊り続けておられました。スゴイ体力です
(´・ω・`)ハー

平安座島のウスデークにも後継者問題は大きなテーマで、昔は東・西・前の3地区に別れて行っていたそうですが、現在では東と西の2地区(20名程度)になっています。90歳になるオバーが現役で参加している反面、後継者となる若い世代の女性は現在2名のみ。歌詞も昔は全て暗記して歌われていたということですが、今ではそれが出来る後継者はほとんどいないそうです。

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